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Rainy Day Woman #12&35 / Bob Dylan (1966) 

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The Beatlesについて書いたのだから、Bob Dylanについても書いておかないといけないだろう。
「ポップ・ミュージック」を語る上ではそういうバランス感覚はとても大事だ。



Bob Dylanが偉大なロック・ミュージシャンであることに異論を挟むものは少ないだろう。
グラミー賞が1979年に"Rock Vocalist of the Year"を新設したとき、それほど目立った活躍をしたわけでもないBob Dylanが選ばれたのは過去に果たした功績のお陰だとも言われた。Dylanに影響を受けたミュージシャンを挙げるだけでロックの歴史は語れてしまうかもしれない。
だが、彼自身が本当にロック・ミュージシャンとして時代を創るような動きをしていたのは"Bringing It All Back Home"で本格的にロックに“転向”した1965年と、ロック史上に残る名盤"Blonde on Blond"をリリースした後バイク事故を起こし休養に入った1966年までの実質2年にも満たない期間だけ、ということもできる。
今や伝説となった1965年7月のニューポート・フォーク・フェスティバルでエレキギターを手にしてから、1966年7月にバイク事故で休養を余儀なくされるまでのわずか1年という期間をロック・ミュージシャンDylanはフルスロットルで駆け抜けた。その速度が余りに速すぎたため、どこかで止まる必要があったのだろう。それが彼自身の意志ではなく、事故という外的な要因によるものだったのは今となっては示唆的である。

Dylan_newport.jpg


"Rainy Day Woman #12&35"(邦題「雨の日の女」)は、Dylanが“ロック・ミュージシャン”として活動したごくわずかの期間の最後にリリースされたアルバム"Blonde on Blonde"のオープニングを飾るナンバーで、Billboardで2位まで上がったBob Dylanとしては最大のシングルヒット曲でもある。
ディキシーバンド調のブラス・サウンドに乗せて、Dylan節としか言いようのない独特の節回しで歌われるこの曲は、決してヒットポテンシャルの高いポップソングとは言い難いが、何度か聴くと耳について離れない特異性がある。
まさにDylanならではのヒット曲といったところだが、こんな曲がチャートインしてヒットしてしまうくらい、この当時のDylanの存在はセンセーショナルだったということなのだろう。


Well, they'll stone ya when you're trying to be so good.
They'll stone ya just a-like they said they would.
They'll stone ya when you're tryin' to go home.
Then they'll stone ya when you're there all alone.
But I would not feel so all alone,
Everybody must get stoned.

あなたがいい人でいようとすると、やつらは石で打つだろう
やつらが言ったとおりに、やつらは石で打つだろう
あなたが家に帰ろうとすると、やつらは石で打つだろう
そして、あなたが一人であそこにいると、やつらは石で打つだろう
けれど、私はあまり孤独を感じない
みんな石で打たれるべきなのだ


世に言われるようなドラッグソングと決め付けるにはあまりに想像力を掻き立てられる歌詞である。
ドラッグソングに見立てた世論への更なる反駁の要素も感じられるし、またタイトルを考えるとある種の性的な暗喩ともとれなくもない。

ロック転向直後の"Bringing It All Back Home"や"Highway 61 Revisited"ではどちらかというと直接的な社会風刺や世論への揶揄を攻撃的なサウンドに乗せていた感があるのに対し、ここでの暗喩はもっと個人的なものに向いており、ややソフトサウンディングになった作りとあいまって、ある種のレイドバック感すら感じさせる。例えば、前年ヒットチャートの2位に入る大ヒットとなったこの当時のDylanを象徴する曲である"Like a Rolling Stone"("Highway 61 Revisited"収録)などと比べても音の構成がすっきりし、Dylanのヴォーカルが前に出ている印象を受ける。その分、描かれた詞の世界は前にも増してイメージ豊かで暗喩に満ちたものになっている。
これはこの曲に限ったことではなく、この曲が収録された名盤"Blonde on Blonde"を通じて言える特徴だったりする。やや牽強付会ながら、バイク事故は契機でしかなく、或いはDylanはここでもう退くことを考えていたのではないかとも思えるのだ。

バイク事故による2年の休養以降のBob Dylanはまるでこの時代の熱を忘れたかのように“私小説的”な世界に埋没していく。メインストリーム・ロックがコマーシャリズムの波に飲まれて、かつて持っていた輝きを失いはじめるのと歩調を合わせて、Dylanはロックへの関心を失ったかのようなカヴァーアルバムやカントリー調のアルバムをリリースする。まるで“時代を創る”ことに興味を失ったかのように。

Dylanが不在の67年から69年の間に疾走したミュージシャンは殆どが、来るべきコマーシャリズム時代への適応に失敗し、多くは最悪の結末を迎えてしまった。彼ら~Jim Morrison、Jimi Hendrix、Janis Joplinら~の悲劇について述べるのは本稿の目的ではないのだが、74年にThe Bandを従え、"Planet Waves"でいわゆるメインストリームに復帰した後のDylanがスタイル自体を大きく変えるわけでもなく、エヴァーグリーンの輝きを失わないでいるのは、逆説的だが、一旦メインストリームに背を向けたからなのであろう。
走らなかったことを責めるのはあたらない。少なくともBob Dylanのような優れた才能が譬えわずかの間でも疾走したことの方が重要なのだから。
彼が走らなかった間にも、彼が蒔いた種は着実に芽をだし、枝葉を伸ばしている。The BandやAl Kooperなどのように直接関わったものも、Lou ReedやBruce Springsteenのように間接的に影響を受けたものも、皆Dylanの2年足らずの疾走が産んだ遺産なのだから。


Dylan2.jpg
これは"Subterranean Homesick Blues"のビデオクリップ。
すっげーカッコイイよ。
Inxsの"Need You Tonight"のプロモはこれのパクリだ。
今となってはどーでもいいけど。




ロックの歴史上最も重要なアルバムと言っても過言ではない
とまで言うとやや過言かもしれないと思えるが、何にしろ歴史に残る名盤"Blonde on Blonde"
"Rainy Day Woman #12&35"以外にも"I Want You"や"Just Like Woman"、"Stuck with Menphis Blues Again"など有名曲満載。

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