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People Are Strange / The Doors (1967) 

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The Doorsは伝説だと言う。

ヴォーカリストJim Morrisonのカリスマ的なキャラクター。ジャズを基調にしたRay Manzarekのオルガンがフィーチャーされた重苦しいまでに暗いサウンド。その暗さにマッチする極めて感覚的で刺激的な歌詞。そして勿論、Jim Morrisonの悲劇的な死…。
これらの全てがThe Doorsのミステリアスなイメージを高めるのに多大な貢献をしている。

しかし、1970年代の後半までThe Doorsはある意味で忘れ去られていたのである。The Doorsの伝説が一般に知られるようになるのは実はあの有名な「地獄の黙示録」のラスト・シーンにファーストアルバム収録の"The End"が使われてからである。80年以降、Jim Morrisonの伝記や、ライヴアルバムの発表などにより、Jim Morrisonの死から10数年を経て、80年代はThe Doorsの時代になる。
だが、70年代のThe Doorsはロックファンの間でも一部でしか評価されていないような存在だった。それは意外だが、The Doorsが本質的にヒットソングメーカーであったことに起因するのだろう。

The Doorsが、60年代後半のいわゆる「革命的な」ロックアーティストの中で飛びぬけてシングルヒットが多く、セールス的に成功したバンドだということは意外に語られていない。わずか5年足らずの活動期間中のシングルヒットだけを集めて1枚アルバムが作れてしまう“サマー・オヴ・ラヴ”なロック・バンドなど実はそれほどはいない。しかもそれが、解散後10年を経た後にリリースされゴールドアルバムを獲得してしまうなどということはまず考えにくい。
例えば同じように伝説的なバンドであり、同じ文脈の中で語られることの多いThe Velvet Undergroundなどと比べると、The Doorsのコアなロックファン以外の一般リスナーへの訴求力の高さというのは一目瞭然である。The Velvet Undergroundが、Andy Warhallの加護を得てニューヨークの知識人階級の慰み物としてその生涯を終えたのに対し、The Doorsが全米中のラジオ局でエアプレイされビルボードのチャートを上っていったのだった。
ロックの持つダイナミズムや冗長なインプロヴィゼーションを排したThe Doorsの音というのは圧倒的にわかりやすいという一面があることは忘れてはならない。
音のわかりやすさと、神秘的かつ深遠なイメージの組合せが伝説に拍車をかける。それがメガセールスを誘発する。
だが、「わかりやすい」ことと「理解される」こととの間には大きな隔たりがある。
Jim Morrisonの悲劇的な死の遠因はそのギャップを埋められなかったことにあるのだろうという気はする。
シングルがヒットし、ライヴが超満員になって、大金を手にしても、周囲は自分のことを理解していない。それでもまた、レコードは売れ、契約を履行するために次のレコードを作らなければならない。そういうシステムに順応できず、ドラッグに溺れるというのはお定まりのパターンであろう。だが、それはJim Morrisonがアンダーグラウンドのカリスマではなく、ポップスターであったために起こったことなのである。


"People Are Strange"(邦題「まぼろしの世界」)は出世作"Light My Fire"の大ヒット(全米No.1)の余韻が残る1967年の秋、彼らの2枚目のアルバム"Strange Days"からの第一弾シングルとしてカットされ、ビルボードで11位まであがるヒットとなった。

People are strange when you're a stranger.
Faces look ugly when you're alone.
Women seem wicked when you're unwanted.
Streets are uneven when you're down.

あなたがよそものだと、人々はよそよそしい。
あなたが一人でいると、その顔は醜い
求められていないと、女は邪悪だ
気分が沈んでいると、道は曲がっている

歌詞を書きとめるだけで人生に絶望しかけてしまいそうになるほど強烈な疎外感を感じさせるこの曲が"Light My Fire"の大ヒットの後とは言え、ビルボードであわやトップ10という位置まで上がったというのは一種の事件である。
時代の趨勢みたいなもんはあったのだろうけど、いくら「サイケ」がブームと言ってもチャートに上がるのは"Incents and Peppermints"みたいなノーテンキなのが多かったので、やはりThe Doorsの生真面目さは異質だ。
と思いつつ聞き直してみると、メロディーもアレンジも極暗ではあるものの、非常にキャッチーではある。シンプルだけど、ポップ・ソングとして良くできてるのだ。
それがThe Doorsの真骨頂である。

この曲が入った"Strange Days"のリリース後、The Doorsはよりポップな方向へ移行していき、ヒット曲を連発する。Top10ヒットとなった"Hello I Love You"や"Touch Me"が有名だが、"Love Her Madly"や"Riders on the Storm"のような地味なスマッシュ・ヒットも放っており、センセーショナルなキャラクターに比して、チャートアクションは総じて良好だったと言って良いだろう。

The DoorsのフロントマンはJim Morrisonだと思われているが、彼は全ての曲を書いている訳ではない。曲はRobbie Kriegerがかなりの数を書いているし、アレンジに関してはRay Manzarekが中心になっていた。少なくとも音楽的にはThe DoorsはJim Morrisonのワンマンバンドではない。恐らくRay Manzarekは1stや2ndではJim Morrisonのエキセントリックな部分を強調することで、凡百の“サイケデリック”バンドなどとの差別化を狙ったのかもしれない。それ以降、グループとしてのバランスを取っていく中で、Jim Morrisonの個性はThe Doorsを構成する一要素へとその重要性を下げていった感はある。
結局のところJim Morrisonは一番近くにいるはずのグループのメンバーにさえも理解されなかったのかもしれない。

最後に蛇足だが、The Doorsはいわゆるトータルアルバムを作っていない。The Rolling Stonesさえもがトータルアルバムを作る時代にである。
作ろうとしたが作れなかったというのが実は正解だったのではあるが、それでも、自分はそのことこそがThe Doorsの一番の特徴ではないかと感じている。
The Doorsの本質がJim Morrisonのカリスマ性のみにあったのなら、どこかで彼らは演劇性の強いトータルアルバムを作っただろうという気がするのだ。それを作らなかったこと、作りきれなかったことがThe Doorsの、そしてJim Morrisonの悲劇を象徴しているように思う。
結局のところ、Jim Morrisonは最後までThe Doorsになれなかったのだろう。

Jim Morrisonを失ったThe Doorsは約2年間、彼抜きの活動を続けたあと解散した。残されたメンバーにとってはやはりThe DoorsはJim Morrisonそのものであった。



恐らくThe Doorsの最高傑作と呼び声の高い2nd "Strange Days"
1曲目がいきなり"People Are Strange"
この当時のThe DoorsはとにかくStrangeな気分だったようだ。

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コメント

ジムモリソンは カインなのかなと思う。
当時 時代の生贄は いっぱいいた。
ぐるぐる回る<ハートに火をつけて>の45回転ドーナツ盤を見つめながら 
精神の均衡を保っていたような気がする。
暗っ!
カインの末裔なんじゃないかと思うskyfishは ドアーズ大好きですぅ。

ドーナツ盤?

”Light My Fire”がドーナツ盤だったかどうか ちょっと不安になりました。
The Doorsがうれしくて 記憶を文学的に改ざんしちゃったかも。
現物が実家に埋もれているので確認できません。
間違っていたらごめんなさい。

>skyfish様

Jim Morrisonって、めっちゃ厳しい家庭環境で育ったらしいですね。
「背徳」をことさら強調するようなパブリック・イメージを演出してたのはその反動なんじゃないかと思います。

「ドーナツ盤」って懐かしい響きですよね。60sな感じ。
「ドーナツ盤」に限らず、ぐるぐる回る「レコード」を見てるだけで幸せだと感じられる時期が、自分にも確かにありました。
CDしか知らない世代の人たちには伝わらない感覚なんでしょうねえ。

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